「こころの家庭教師」通信 第2号~ 「自己効力感」

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こころの家庭教師
森川 隆司

私たちヒューマン・タッチでは、一人一人が抱える個別的な問題に焦点を当て
「その人自身が本来持っている力を最大限引き出そう」という理念を掲げております。
45名を超える心理臨床の専門家ネットワークを用い、色々なこころが抱える問題を ともに考え、そばに寄り添える存在、そんな姿を目指しています。

「こころの家庭教師」通信 第2号

自己効力感


「漫画家になる」「小説家になる」「総理大臣になる」「宗教家になる」
今までお会いしてきたひきこもりの人たちの中には、このようなことをいつも口癖のようにしている人たちがいました。

彼らは決まって、「○○は○○だから駄目なんだ」「○○の絵は全く駄目だ」「○○のせいでこんなひどい状況になっているんだ」と他人の批判というか、攻撃も同時に口にします。

一方で、自分は何もやりたくないし、何もやるつもりもない、このままでいいんだ、と半ばあきらめて無気力になる人たちの群もあります。
さらに、自分には何もできない、やっぱり自分は人より劣っている、もうだめだ、と落ち込んでしまう群もいます。
最初の群をA次の群をB、最後の群をCとしましょう。

ABCすべて、状況としては家や部屋から出られない、ひきこもりの人たちです。けれど、お会いしてみると話の内容が全く異なりますし、エネルギー感もABCではばらばらです。

Aの人たちに会うと、「だったら、自分でやってみればいいじゃん」「それだけのエネルギーがあればまずはコンビニでも行って買い物してみて頂戴」といった気持ちが出てきてしまいます。

Bの人たちは、なかば諦めて達観しているので、こちらの話に耳を傾けようとはしてくれません。聞いていても、ふーん、という感じで、話していても実感がわきにくい感じです。

Cの人たちは、話は聞いてくれますが、すべてについて「でも僕にはできない」「出来ないぼくが悪いんだ」とここに逃げ込んでしまいます。

この現象、「自己効力感」という視点から説明できるのではないかと考えています。

自己効力感について説明します。
私たちが、何かしらの行動を起こす際に、目標とともに、その行動をうまく成し遂げることができるだろうかという「見通し」が必要となってきます。
「確信」という言葉にしてもよいかもしれません。
このような「見通し」や「確信」を持っていないと、私たちはいくらその行動の結果が明らかなものであっても、行動を実行しようとは思えませんよね。

自己効力感とは、単純に言えばこれら「見通し」や「確信」のことなのです。
自己効力感が、何かをやり遂げる場合の「見通し」や「確信」だとすると、その行動が実行された場合、どのような「結果」が生じるのか、についての期待も存在するはずです。
これが「結果期待」というものです。

「自己効力感」と「結果期待」を単純化すると、以下のような図で表すことができます。

「自己効力感」と「結果期待」の図

ここで、さきほどのABCの人たちを考えてみたいのです。

まずAの人たち。
彼らは、自分がなりたいものややりたいことを声に出すことができます。
すなわち、「小説家」「政治家」「漫画家」というものには、なることが出来る、という確信「自己効力感」を高く持っているのです。
けれども、その行動を起こしていない。小説を描いたり、漫画を描いたり、政治活動をしたり、そんなことはしないのです。
つまり、「行動」がもたらす「結果」が見えていない、「結果期待」が弱いのです。

次にBの人たち。かれらはすべてに関してあきらめ顔です。
自分が何かできる、何かになれる、といった「自己効力感」も、何か行動を起こせば、変化があるであろう「結果期待」も限りなくゼロに近い人たちなのかも知れません。

最後にCの人たち。彼らは自分たちにはできる、という気持ち「自己効力感」は低いのですが、何か行動を起こしたら、その結果はついてくる「結果期待」は高いのではないでしょうか。
行動さえすれば、変化することができるのは理解しているんだけど、「行動」することができない。出来ない自分は「駄目だ」となってしまっているのです。

次回は、ではこんなABCの人たちについて、どのようなアプローチが有効なのか、独断と偏見で書いてみたいと思います。



「こころの家庭教師」通信より内容を一部編集して転載しております)



森川 隆司プロフィール
代表あいさつ

大学病院メンタルヘルス科や心療内科クリニックで、多くのひきこもりの方にお会いしてきました。ひきこもりといっても、精神科的な問題によるものや、軽度の発達障害や知的な面での障害によるものもしくはこれらの問題の二次的な要因によるもの、また生まれもった性格的な問題によるもの、まで様々です。

弊社で主催する、「ひきこもり・不登校・発達障害支援研究会」では、常に現場での事例検討、また最新の知見の共有につとめ、お会いする方の状況を見極め、必要な支援を必要なだけ行えるようメンタルパートナーが研鑽を積んでいます。

「家族以外で信頼のおける人間関係をじっくり構築する」。解決への道のりは長いですが、「こころの家庭教師」において一番大切で私自身がいつも心がけていることです。
資格・所属
・財団法人日本臨床心理士資格認定協会 臨床心理士
・カナダ保健省開発親支援プログラム Nobady’sPerfectファシリテータ
・日本認知療法学会
・日本自立訓練学会
・日本産業精神保健学会

職歴
・大学病院メンタルヘルス科
・心療内科クリニック
・公立学校スクールカウンセラー
・大手EAPプロバイダーにてコンサルティング業務
・中災防メンタルヘルス推進支援専門家
・千葉共生センター男性相談員

「こころの家庭教師」http://www.kokoro-free.jp
子どもたちのこころの元気を取り戻すために、通常の学習指導に加え、こころの成長やひきこもり対応、また予防が必要な人たちに“こころの専門家”が対応する新しい形のサービスです。

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「その人自身が本来持っている力を最大限引き出そう」
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